横山タカ子監修 羽織りにもなる割烹着
「割烹着なんて昔のもの」
ずっと、そう誤解していました
編集部 陰山栗実
暮らしまわりの編集を担当しているのに、恥ずかしながら家事は大の苦手。
料理は夫まかせで、掃除も四角い部屋を丸く掃けたらいいほうです。
仕事のことはきちんと守れるのに(あたりまえですね)、家のこととなると「いいじゃんいいじゃん、今やらなくても」という怠惰な心が。
なんでだろう、と考えた結果「家事には決められた始業時間がないから」では、と思うようになりました。
●「朝からていねいな暮らし」は、続かない
だから、まずは朝から楽しく家事をはじめられそうな道具をいろいろ買ってみました。
コーヒーミル、ジューサー、棕櫚のほうき――。少し早起きしてはせっせと使い、「おー、雑誌に出てくるていねいな暮らしっぽい」なんてわくわく過ごしていましたが、それも束の間。続かない、続かない。
その頃、雑誌『ハルメク』で連載をなさっている料理研究家の横山タカ子さんと一緒に「割烹着」を作る話があり、誌面編集を担当することになりました。
この出逢いが、私の悩みをいとも簡単に解決してくれることになるのです。
●パジャマの上から着るだけで、「はじまりの合図」
正直、「割烹着なんて昔のもの」「私とは遠い世界のもの」と思っていました。
でも完成したそれは、まるで洋服のようにおしゃれ。洋服を一枚増やす感覚で迎え入れたら、これが大正解でした。
家事と同じくらいパジャマから部屋着に着替えるのも苦手なので、まず「袖を通してパジャマをすっぽり隠せる」というエプロンにはない形状がとてもしっくりきました。
パジャマの上から着るだけで、おのずと「よし、今日がはじまるぞ」という気持ちに。私にとっての家事の始業時間の合図です。
朝から土鍋でごはんを炊いてみたり、しっかり出汁をとって味噌汁を作ったり。自然と規則正しい朝ごはんを作りたい気持ちがわいてくるほど。
すっかりホコリをかぶってしまったコーヒーミルの出番も増えるようになりました。
・パジャマの上から重ね着。着替えていないのにきちんと見えて、面倒くさがりにはもってこい。
●リモート会議の「パジャマ隠し」にも活躍
ちょっと脱線しますが、ここ数年でテレワークをするようになり、リモート会議の機会が増えました。
最初の頃はきちんと着替えていましたが、だんだん「上半身しか画面に映らないし、着替えるの面倒くさいなー」という怠け者精神が。
でもこの割烹着なら、すぽっと重ね着するだけでOK。
そう考えると、割烹着って今の時代に合ったアイテムなのかもしれません。
あっ。これを読んだ同僚には、いつも下にパジャマを着ていることがバレちゃいますね。
まーいっか(と気にしないでいられるのは、面倒くさがりのいいところかも)。
・ある日のリモート会議。実は下にパジャマを着ているなんて、全然バレません。
●料理研究家・横山タカ子さんの知恵を凝縮
割烹着を長年愛用している料理研究家・横山タカ子さんの知恵が詰まっているので、もちろん割烹着本来の役割としても優れている点がたくさんあります。
袖にはたっぷりゆとりがあり、ニットやスウェットなど袖まくりをするとボリュームの出る洋服の上から着ても、二の腕まわりにきゅうくつ感がありません。
しかも二重ゴムでキュッと止まるから、袖口にゴムが入っていないトップスでも水仕事がラクちん。
大きめのポケットには、料理しながらよく使う布巾やスマホがすっぽり。
家事の面倒くさい度をぐっと下げてくれます。
・中に厚手のスウェットを着て腕まくりをしても、二の腕まわりに余裕があります。
・ポケットは上から入れるタイプ。しゃがんでも中身が落ちにくい深さです。
着丈は、身長157cmの私が着て脛のまん中まで隠れるくらい。「着物の上から着ても裾が汚れないように」という理由で丈が長めになっています。
だから、料理だけでなく掃除にも重宝もの。「おしゃれして出かけようとしたのに、どうしても部屋の汚れが気になる」というときに上から着れば、大事な洋服を汚れから守ってくれます。
そういえばこの割烹着を着るようになってから、洋服のシミが気にならなくなったなー。
・ワンピースを守るヴェールに。「料理用」と「掃除用」を分け、色違いで2枚持っています。
●2WAYで割烹着が「羽織り」にもなる
終わりに近づいたところで、最大の驚きポイントをひとつ。
実はこの割烹着、背中側を前にして羽織りとしても使える「2WAY」なんです。
コロナ以降、家の中と外の境界線があいまいになって、「ご近所さんに会いませんように」と願いながら部屋着でサッと出かけることが増えました。
そんなときに羽織るとなんとなく格好がついて、ばったり会っても恥ずかしくありません。
・きちんとしたコートだと「部屋着を隠している感」が出てしまいますが、これは自然。
洋服のように素敵に見えるのは、生地にもこだわっているから。兵庫県を中心とした地域に古くから根づく「播州織(ばんしゅうおり)」で仕立てられていて、糸を織り上げる前に染める特別な技法が豊かな色合いにつながっています。
綿100%で肌にやさしく、汗をほどよく吸う力も。天然素材なので、着つくしたら刻んでボロ布にして掃除に。無駄がなく、環境への配慮ができるのもうれしいです。
・着古したら使いやすいサイズに切って、コンロの掃除や揚げ物の油吸いにも。
割烹着は、料理や掃除がラクになるだけでなく、家事する気持ちを前向きにしてくれるもの。
家事が苦手な私が変われたのですから、「割烹着は昔のもの」と思い込まず、ぜひ試してみていただきたいです。
今回ご紹介したアイテム
(商品名)
横山タカ子監修 羽織りにもなる割烹着